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連載第6回 江西中学校 剣道部に行ってきました!!
- 剣道
- 2007年10月29日
「自分が今中学生だったら、この楽しそうな部に入ってみたい。」
取材を終えた私(本間)の正直な感想です。
「うちの部は、足が速いというような運動神経のいい生徒はいないし、球技も不得手で、全然きびきびしたところもないし、ユニークな性格の生徒が多くて、今まで取材した部とは全然違うと思いますよ。」
顧問の中村卓広先生は、照れ笑いしながらまず剣道部の今の状態を語ってくださいました。
この日、私は江西中に約束の4時頃に到着しました。校長室で待っていると、剣道着、防具(胴)をつけ、はだしの状態で先生が入ってこられました。紺色の剣道着は年季がはいって色あせており、体になじんでいるその姿が格好良くみえました。そして部活の取材が始まったのでした。
<剣道のルール>
何も知らない私はルールから教えてもらうことにしました。
基本的には3本勝負の2本先取で勝敗を決めるということですが、制限時間は3分と決まっており、そのなかでの勝負なのだそうです。3分の間に1本でも取れればそれは1本勝ちということになるし、1分の間に2本とってしまえば勝負ありということになるのだそうです。
団体戦の場合は、通常は5人1組で、「1.先鋒 2.次鋒 3.中堅 4.副将 5.大将 」と強さによって順を決めていき、先鋒から同格の者同士で対戦するようになっているということでした。3本先取なので5人いても3人勝てばそのチームの勝ちということになるのですが、引き分けが続いた時には最後の大将が勝てばそのチームの勝ちとなるそうです。
浜松地区の中学生の年間の剣道の大会は新人戦から始まり、永峰杯、スポーツ祭、湖西大会、横須賀大会、夏の大会と1年中あるようです。
剣道というのは技術の差より気持ちの差、いわゆる気迫の差で勝敗が決まることがしばしばあるそうです。声が出ているか、気合が入っているか、気を抜いていないか、その気持ちで相手が気押されることになるのだそうです。
慣らし稽古を終え、生徒が先生を迎えに来ました。
先生と一緒に剣道場へはいりました。そこは、剣道場と、柔道場が半分ずつになっており、片面は畳がひかれ、片面は剣道のための板の間になっていました。板の間といっても、普通の体育館とは違い、踏み込んだときに足にかかる負担がなるべく少なくなるように、床への衝撃は床全体に伝わるようになっていました。ですから、練習試合をする生徒を見るために剣道場の端に座ってもその気迫はひざを通して伝わってきました。
「カチャカチャ、(竹刀の当たる音)オーン(掛け声)、
カチカチャ(竹刀の当たる音)、メーン(掛け声)、
ヤオァー(掛け声)、メゥェーン(掛け声)」
向かっていく時は必ず右足を先に出して踏み込み、その半歩後ろあたりに左足が付いていく。この感じは“ほかのスポーツにはない動き”だそうです。前後左右からだが動くときには、右足、左足の距離が離れるか縮まるかで、右足は常に前、左足は後ろなのだそうです。その動きで竹刀を振り上げて相手と向き合う姿を形容する言葉を捜すと、
「勇ましい」「雄々しい」「凛々しい」
という言葉が浮かんできました。
でも多くの言葉で形容するのが適切でないようなそんな気もしました。
人の側面を測るのは、(つまり評価する事は、)どんな内容であっても一面でしかなく、万能のものさしは存在しないということを改めて感じます。足の速いというような運動神経のいい生徒はいないという先生の言葉を聞いていたにもかかわらず、この剣道場ではどの生徒も、「勇ましく」「雄々しく」「凛々しかった」からです。個性派揃いの生徒たちは私の眼にはかなり格好良く映ってしまいました。(笑)
「自分が今中学生だったら、この楽しそうな部に入ってみたい。」
そう感じたのは、生徒たちが防具をはずした時でした。
本間 「この部活に入って自分自身に何か変わったことはありますか?」
生徒A 「痩せました。これでも(といって、自分のおなかの肉を摘まむ)」
生徒B 「気持ちに自信が付きました。」
生徒C 「部活。僕そのものです。」(一同爆笑)
生徒D 「今僕は心のダムにせき止められている。」
生徒C 「意味が全然わからないー。」(一同爆笑)
生徒E 「僕はもともと良く食べますが、今はもっとすごいです。」
本間 「どれくらいすごいの?」
生徒E 「どんぶり4杯は軽くいけます。それも朝からですよ。でもおかずがなくなるので、あるので我慢していますが。」
生徒E 「半日何も飲まないでいたら、喉がカラカラになって、気がついたら1.5Lのペットボトルのジュースを全部飲んでいたこともあります。」
本間 「ええっ。みんなそうなの?」(驚きつつ笑いながら)
複数の生徒「いえ、こいつだけです。」(一同爆笑)
本間 「いつも部活が終わるとこんな感じなの?」
生徒F 「終わった後の“なごみ”っていうか“ふれあい“これが結構大事なんです。」
複数の生徒「いえてるよなァ」
生徒E 「この中に“オタク”もいるんですよ。」
「(その“オタク”を指して)こいつ実は、テコンドーの県大会で優勝してるんだよな。」
生徒C 「っていうかそれって“オタク”じゃないじゃん。」
ゲラゲラ笑いながら時間が過ぎていきます。着替えが終わった女生徒も加わり、話はつきません。気がつくと卒業生も何人か来ていました。
「剣道場の明かりがついているのに気がつくと、何故か寄ってしまう。」のだそうです。
卒業生も今いる部員も“みんなの剣道部”を愛さずにはいられないといった感じがヒシヒシと伝わってきました。
「さあ、明日は朝練もあるから帰れよー。」
朝練のある日は、鍵を開ける先生が来るのが待ちきれない生徒もいるのだそうです。
7時20分にはじまる朝練は素振りだけでも良いのに、その時間には全員が揃って防具を着てひとしきり練習をするそうです。
恒例の先生からのメッセージ
「人間関係を作るのが下手な人が多いけど、人とうまくやれれば、人生は楽しいんだよ。」
いつも自然体でいる先生の周りには自然と生徒が集まります。生徒に対し、引くところと押すところのバランスと、面倒見のいい先生が造る絶妙な人間関係を目の当たりにすることができました。
(取材 本間)
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